ハキダメギク | |
暮らしとの関わり 今まで、名前は知らなかったが、よく道端などで見かけた植物である。大抵は倒れてだらしない形で生えていた。よく見ると地面についた茎や枝から盛んに根を出している。(右下写真) 調べたら「ハキダメギク」という何とも気の毒な名前であることがわかった。花も径5oほどで小さく貧弱ではあるが、よくよく見ればそれなりに美しい。 また、命名者が牧野富太郎であることも意外であった。「雑草」という呼び方を嫌った人にしては、もう少し増しな名前は思いつかなかったものであろうか。 だが、イギリスでは「勇ましい戦士」という別名もあるという。 先日、石黒の畑で草取りをしていて繁茂したハキダメギクをよく観察したが、とくに根の繁殖力には驚いた。茎の基部からも地上めざして根が伸ばして地中に入り込んでいる(下写真)。おそらく茎枝の先からも地面に触れれば根が出て繁殖するのだろう。倒れても起き上がって戦う「勇ましい戦士」、まさに納得した思いであった。 写真2005.10.6下石黒 旺盛な根 写真2009.7.31下石黒 葉の表裏−波状の浅い鋸歯 写真2007.7.6下石黒 草姿 写真2007.7.6下石黒 群生したハキダメギク 写真2007.7.6下石黒 |
解 説 キク科 本州中部以南の各地の道端などに見られる一年草。熱帯アメリカ原産の帰化植物で大正時代に東京で初めて発見され牧野富太郎によって命名されたという。 茎の高さは10〜60p。茎や花柄には白い開出毛、時には腺毛がある。(下写真−開出毛)倒れて地面についたところから根を出す〔下写真〕。 葉は対生し柄があり、卵形で波状の浅い鈍鋸歯がある〔左写真〕。 花期は6〜11月と長く、頭花の径は5oほど。白い5枚の花弁をもった小さな花をつける〔上写真〕。総包は半球形で長さ2〜3o、総包片は広楕円形で〔上写真〕無毛ないし腺毛がある。舌状花は雌性で5個内外。色はくすんだ白色で先端が浅く3裂。管状花は両性ですべて黄色〔上写真〕。 冠毛は鱗片状で先端が尖り、縁が毛状に裂ける。 そう果は黒色で冠毛をもって細毛がある。 名前の由来は牧野富太郎の植物図鑑には「掃溜菊の意味で著者の命名」と記されているのみで不明。 若い葉や茎の毛 写真2007.7.6下石黒 茎断面 写真2007.7.6下石黒 倒れた枝から出た根 写真2007.7.6下石黒 つぼみから花へ 写真2007.7.6下石黒
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