バショウ(植栽)
生活とのかかわり
 昭和20〜30年代には石黒でも何軒かの家で植栽されていた。筆者の家でもタネ(家の後ろの池)の近くに1株植えておいてその壮大な姿を楽しんだ。(下写真)
  しかし、多雪地であったので秋には掘り起こしてイモオキアナ(冬季の貯蔵の縁の下に掘られた貯蔵場所)で保存したことを記憶している。
 
   写真昭和29年 下石黒

その後、晩秋にバショウの茎の元部を沢山の籾ぬかで覆っておくと野外でも越冬できることが分かった。
 また、バショウは何年か一度、花が咲くが、その株は翌年は消滅したように記憶するが、定かではない。
 ちなみに、俳人芭蕉と植物のバショウは関係はないものと思っていたが、弟子の一人が庭に植えたバショウが気に入り、それまでの桃青の号を芭蕉に変えたとの説があることを知った。そういえば、夏目漱石全集の扉の写真にも庭のバショウが写ったものがあった事を思い出した。異国情緒のあるバショウは古来、文人たちにも好まれた植物のようだ。

 写真2017.8.18 田塚


解 説
バショウ科
 中国原産の多年草。
 茎の高さは2〜3mで、葉の長さは1〜1.5mなので高さは4mをこえることもある。葉の幅50pほどで巨大葉。
 花期は7〜9月。雌雄異花で花序は垂れ下がり、雌花は花序の下(基部)にあり、雄花は花序の上(先端)につく。
 また、雌花は先に開き果実ができるが、雄花は、その後に咲き始める。自家受粉を避けるためであろう。
 希に果実がつくがバナナと形が似ているが小さい。しかし、実は綿のようで種も大きく殆どは食用にはならない。
 材としては琉球諸島で昔から葉鞘の繊維でバショウ布を織り衣料に利用していた。現在でも伝統工芸品として生産されている。
 名前の由来は、牧野植物図鑑によれば漢名の芭蕉によるものであるが、本種だけのものではなくバナナ(甘蕉)全体を指すものであるという。