アカカタバミ
暮らしとの関わり
 カタバミは子どもの頃から親しい植物であった。太平洋戦争の前後は食糧難の時代で私たち子どもは、おやつ代わりに草そのもの、まるごと食べることもあった。その一つがカタバミであった。
 しかし、赤いカタバミは見た記憶があるが食べた覚えはない。葉が小型(やせ地に多いために小型?)である上に紫色が有毒らしく見えたせいであろうか。
 石黒では、アカカタバミは当時も今も稀に見られるほどでカタバミに比べて断然少ないように思うわれる。
 そんなわけで、先日、近くの国道8号線の歩道の縁石の隙間に繁茂している株を見て驚いた。花も小ぶりだがよく見ると中央が赤く美しい。おそらく排気ガスのみならず暑さや渇水にも強いのであろう。
 日本では、古来、家紋にカタバミが使われて来たが、このような強靭さと繁殖力から子孫繁栄、家運隆盛の縁起にちなんだものであろう。
 牧野植物図鑑では、アカカタバミの項目としては見当たらない。カタバミの項に、下位分類として名前があげられているのみである。

写真2007.10.1 寄合



写真2019.5.6松美町

           つぼみと花後
写真2019.5.6松美町


解 説
カタバミ科
 日本全国どこでもふつうに見られる多年草
 高さ10〜15pほど。
 茎は赤味を帯び分枝し地上を広がる。
 葉はハート形の小葉を3個つけたカタバミと同形で、私が見た限りでは、やや小振り。
 花期は4〜7月。花柄を伸ばし黄色い花をつける。カタバミの花に似るが花の中心部に橙色の筋が入る。直径5〜8mm。
 果実はさく果でカタバミと同型で熟すと勢いよく跳ねるように割れて多数の種子を散布する。
カタバミに比べ環境に耐性が強く、車道の縁石の隙間などにも見られる。
 名前の由来は葉や茎の赤紫色による。



  緑色の葉も混じった個体

写真2019.5.6松美町

     葉の大きさ
写真2019.5.6松美町