モリアオガエル
暮らしとの関わり
 石黒では「モチツキゲェロ」と呼んだ。家の脇のタネ(池)の縁に生えた草にモチのような卵塊をつけたからである。
 モチが何よりのご馳走であった時代、子どもたちは、この卵から餅つきの時につきたてのモチをちぎって食べる「オテノコ」を連想した。
 山道で草木の葉の上で眠っているように見えるモリアオガエルをよくみかける。中には、可愛いというより森の瞑想哲学者とも言いたい姿のカエルに出会うこともある。→写真
 右の解説にあるとおり、モリアオガエルの産卵の仕方はクロサンショウウオのそれに似て風変わりなものだ。下の写真は昨日(2009.6.9)に上石黒の嶺坂上り口付近の池で撮った。ちょうどこの日は曇りで鬱そうとした木々に囲まれた池の周りはうす暗かった。そこで、産卵がおこなわれていた。
 農業用水に恵まれない田の多かった石黒では、かつては沢山の用水池があった。しかし、現在では、それらの用水池も田とともに放棄され、干上がっているものも多く、モリアオガエルの生息環境は悪化している。
(写真2005.9.29寄合 右上下2005.6.12落合)

       モリアオガエル産卵の様子



撮影2009.6.9上石黒
    
解 説
アオガエル科
 本州、四国、及び九州の一部に棲息する。山地の森林にすむ。
 体長は5~9㎝で背は緑色、腹は灰白色。
 梅雨のころに池や沼などの周りの草木に白い泡状の卵塊を生む。〔参考画像・卵の孵化〕中の卵の数は300~500個。産卵は夜や曇りの昼間行われ、上・左下の写真のように一匹の雌に数匹の雄が抱きつくような格好で精子をかけかき回しながら産卵作業をする。1~2週間ほどで孵化する。
 孵化したオタマジャクシは巣の中で雨を待って雨で溶ける巣とともに水の中に落下する。しばらくは腹部についている卵黄を使って成長するがやがてオタマジャクシとなり自分で餌を採って生長する。
 そして、1ヶ月ほどかけてカエルとなりしばらく水辺で棲んだ後森に移動する。
 名前の由来は森に棲むアオガエルの意味。〔鳴き声〕



5m直下には側溝の水たまり
写真2016.6.14谷根