ヤマトシリアゲ
暮らしとの関わり
 昨日(2017.8.29)に、ふるさと石黒の生家の畑に大根播きに行った。
 生家への小路を上って行くと二番芽(一度刈り取られ新芽が成長したもの)のカラムシの葉に子どものころから見慣れた小さな昆虫がいるのが目を引いた。
 目を近づけて見ると、姿は蜂のようでもあり蛾のようでもある。更に目を近づけると羽の黒い紋様と巻き上がった尾、そして長い頭部に特徴があった。
 今まで、何ともなく見過ごしていたが、なかなか個性的な姿の昆虫である。
 帰宅後、調べてみるとヤマトシリアゲと分かった。昔は春型と夏型の体色があまりにも姿が異なるため別種と思われて夏型は「ベッコウシリアゲ」と呼ばれていたという。まさに、全身が美しいベッコウ色である。しかし、春に出現する個体群は全体に黒色を帯び、はねには薄白色と黒の模様がある。
 筆者も雄雌の両者を見た記憶があるが、春型は少し大型でもあり別種の昆虫と思っていた。
 さらにWEB上で調べると、オスはメスに餌を与えて、メスが餌を食べている間に交尾をすると言う習性があるという。また、鋏のような交尾器が戦いの武器となるというのも面白い。また、成虫のエサが、小動物や昆虫の死骸であることも興味あることである。
 それもこれも、自らの子孫を残すために長い進化の過程で身につけたものであろう。
 自分は、これから後、何年生きられるか分からないが、もっと多くのふるさとの昆虫たちと出会いたいものだ。

写真2017.8.29下石黒


解 説
シリアゲムシ科
 本州、四国、九州に分布。出現期は、 4〜5月、7〜9月。
 春に羽化する個体は黒味がかっているが、晩夏に羽化するものは赤味が強い。 幼虫は土中で虫を食べて育つ。成虫のエサは、小動物や昆虫の死骸。
 オスの腹部にはハサミムシのような交尾器があり、敵と戦うときの武器となもなる。 
 サソリのように尻が曲がっているシリアゲムシ目の代表種。



  ハサミのついた交尾器

写真2017.8.29下石黒