シオヤアブ
暮らしとの関わり
 シオヤアブの飛ぶときのブヒュュューンという高い羽音は、子どもの頃の夏の暮らしとともになつかしく思い出される。
 炎天下に人の前を、まるで道案内のように例の羽音を立てて飛んでいく。愛嬌のある可愛い姿の昆虫と思っていた。
 ところがある日、オオシオカラトンボが失速したように落ちてきたので近寄ってみると背にこのシオヤアブがのって頭の付け根に口先を突き刺している。
 その後は、注意して観察したが一度シナガバチを捕らえている姿をみたことがある。時にはスズメバチやオニヤンマにも挑むという。
 ちなみに、シオヤアブは毒液をもって相手を制するのではなく急所を一突きすることで相手を倒すという説がある。
 「善人顔した殺し屋のような昆虫」、と呼びたいが、殺し屋はヒトという生物にしかいないとシオヤアブに言い返されそうだから止めておこう。
 
〔撮影日 上・右上2005.7.17寄合 右下2006.8.5下石黒〕


           交尾 

撮影日2010.8.5下石黒
解 説
ムシヒキアブ科
 成虫は40〜50pで6月〜9月にみられる。
 体は外見のとは異なり頑丈で飛ぶ能力も高い。さらに太い足と何よりずば抜けた口吻を持っている。この口吻を他の昆虫の急所に差して殺し体液を吸う。とくにコガネムシを好んで捕らえる
(上の下写真)幼虫も地中でコガネムシの幼虫を食べるという。



      体の様子(雄)

撮影日2010.7.8下石黒


     体の様子(雌)
撮影日2012.7.29畔屋