ヨトウガ | |
暮らしとの関わり 幼虫は、石黒では「ヨドゥ」あるいは「ヨドムシ」と呼んだ。キャベツや白菜などにつく嫌われ者の虫であった。葉が喰われた跡があるが虫の姿はないが翌日になると更に被害は広がっている。不思議に思って根元の土を掘ってみるとコロコロと数匹の土色をした幼虫が出てくる。 このように、昼間は土中に潜っているのでモンシロチョウの幼虫のようには簡単には駆除できなかった。また、駆除するにも保護色のため見逃しがちである。そろそろ、取入れの頃であり殺虫剤は使いたくないので、まことに厄介な害虫であった。 また、キャベツや白菜の株の中に穴を開けて深く侵入していることもあった。筆者の観察では、侵入した幼虫の白菜の内部での食害は少ないが、糞もみられ食品価値を損なう。 成虫は、よく、秋になると家の中にも侵入していて触るとぽとりと床に落ちる。死んでいるのか冬眠中なのか分からないというような蛾であった(成虫についてはフクラスズメとの区別が筆者には難しいが・・・)。 今、画像で観察してみるに足にトゲ状の毛が見られるので死んでも戸などに張り付いていることができるのではなかろうか。 気の毒だが、筆者にとって、成虫、幼虫共に蛾の中では最も好感の持てない昆虫である。だが、こうしてにっくき虫として特にいろいろ観察していると興味もわいて来て、忘れがたき昆虫にもなりつつある。 〔撮影日2007.8.26下石黒 右2007.7.6下石黒〕 腹側の様子 写真2013.12.25下石黒 |
解 説 ヤガ科 日本全国に分布。 年1〜2回発生。地域によっては3回発生し成虫で越冬する。 晩秋になると人家の戸袋や台所の隅に翌春まで潜んでいる。 成虫の体長は15〜20oで開帳45o。体色は灰褐色から黒褐色で不鮮明な紋様がある(左上写真)。 卵は夜間に数十から数百個葉の裏にまとめて産み付ける(上写真)。 幼虫は極めて多食性でイネ科以外のほとんどの植物を食害する。 老齢の幼虫は日中は土中や株際に潜み、夜間に出てきて葉を食べるので「夜盗蛾」の名がついた。 終齢の幼虫は体長40〜50o。 土中で蛹化し越冬する。蛹の体長18〜22o。 足のトゲ状の毛 写真2013.12.25下石黒
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