スギヒラタケ
暮らしとの関わり
 石黒では、スギヒラタケを「カタハ」と呼び、昔からナラタケとともに最も広く食べてきたキノコである。誰にでも見分けがつくばかりか、秋、それも霰の降る頃まで杉林に入れば容易に採取できた。
 薄暗い杉林の中で出会う、白く光るようなスギヒラタケの姿は美しい。
 子どもの頃から毎年秋には必ず食べたキノコであり、キノコといえば誰もがスギヒラタケを連想するほどである。
 筆者の生家の屋敷の古い杉株にも発生し、子どもの頃から、これほど誰にでも採れて安心して食べられるキノコは外にないものと思っていた。
 ところが、平成16年(2004)にスギヒラタケによる急性脳症による死亡例が数件発生したため、現在では毒キノコに分類され採取する人もいなくなった。

(写真2005.11.2 下石黒)

   古い杉の切り株に発生したスギヒラタケ

写真2005.10.13 下石黒

解 説
キシメジ科
 主にスギなどの古い切り株に自生する。北陸、中部、東北地方を中心に食用キノコとして昔から親しまれてきた。
 色は白色、笠はほとんど無柄で出始めは、ほぼ円形である。成長につれて耳形〜扇形に変る。成長したものの径は2〜6p。食味は癖が無く食べやすい。 
 しかし、厚生労働省の集計によると、平成16年、秋田や山形、新潟など9県でスギヒラタケを食べた59人が急性脳症を発症し、うち19人が死亡したため現在は食べることを控えるようにとの通達が出されている。
要注意




       幼菌

写真2005.10.13 下石黒

    傘裏ヒダの様子

写真2005.10.13 下石黒