ニホンカモシカ

暮らしとの関わり
 石黒に、ニホンカモシカが見られるようになったのは平成9年の頃からである。
 筆者は、1998年秋に娘婿の車に同乗していて初めて目撃した。場所は元石黒校の正門から現在の国道353に下りた落合方向の道路であり、カモシカは道路の真ん中にみじろきもせずにいた。
 当時の自分には、シカというとエゾシカのイメージが強く、その姿から子どもの頃に見た村道に逃げ出した仔牛を連想した。そいつは、その後数分にわたって道の中央でじっとしていた。自分はようやくニホンカモシカであることに気が付いた。だが、運悪くカメラを持参せず撮影はできなかった。詳しく観察するために少しずつ近づいたが10mほど迫ったところで、ブナ林に続く急斜面を駆け上がって逃げ去った。
 その3、4年後くらいからニホンカモシカを見かけたという村人の話を度々聞くようになった。今日(2011)では子連れのものを見たという話も聞いている。
 掲載の写真は編集会の大橋政栄さんが石黒と隣接する上越市大島区で撮ったものである。
 また、右下の写真は、その後(2014)に上石黒地内の国道の橋の上から南側の山腹にいたものを政栄さんが撮影したものである。
 筆者が16年前に初めて元石黒校の車道で出会ったころに出現したニホンカモシカはどうやら繁殖をしているようだ。これからは石黒でも珍しくない獣になるかもしれない。
 福島の大橋洋子さんから、当地の散歩道で見かけたニホンカモシカの写真を送っていただいたので参考までに掲載した。→写真
 先日(2017.8.20)に地蔵峠の地蔵尊の参道の草刈りが行われ、 石黒だよりに載せる写真を撮りに訪れた折に、途中でニホンカモシカに出会った。どうやら個体数は年々増えて いるようだ。→写真現在では石黒では特に珍しい存在ではなくなりつつある。下の写真のように民家近くでもみられるようになった。

  写真 2014.4.27上石黒   政栄

ニホンカモシカ-ビデオ資料


          残雪の上のニホンカモシカ

写真 2011.2.20大島村  政栄

       地肌の出た山腹を歩くニホンカモシカ

写真 2011.2.20大島村  政栄

        急傾斜地を渡るニホンカモシカ

写真 2011.2.20大島村  政栄

         大きく開くひずめと眼下腺

写真 2011.2.20大島村  政栄

       民家の近くでも見られるようななったニホンカモシカ

2016.4.30 寄合地内  撮影小林時吉
解 説
ウシ科
 中国地方を除く本州、四国、九州に生息。普通は単独か、つがいで生活する。日本固有種で、国の特別天然記念物に指定されている。
 体長110〜130p、体高65〜75p、体重30〜45s。尾長5〜10p。
 体型はずんぐりしていて四肢や首は太く短い(左下写真)。毛色は黒褐色や灰褐色が普通。
 雄雌ともに黒色で湾曲し長さ15cmほどの角をもつ(左下写真)
 目の下によく目立つ眼下腺をもち(左下写真)縄張り意識の強い本種はここから分泌液を出してマーキングをする。その他、ひづめの間(蹄間腺)からも強い臭気のある物質を分泌する。
 ひづめの先を広げて立つことができ崖地などの足場の悪い所での活動に向いている。
 繁殖期は9〜12月で翌年の初夏に2〜3sの仔を1頭産む。
 食性は主に森林の中の植物の葉を食べ、冬季は冬芽や樹皮を食べる。特に、冬季に樹皮を食べることからしばしば食害が問題にされる。
 仔は生まれてすぐに歩くことができ1年間親と共に暮らしその後は独立する。
 昔から毛皮や食肉用として狩猟の対象となった動物。
 ニホンオオカミの絶滅により急増したが、戦後戦前(1945年ころ)には乱獲により3000頭まで激減したが現在では10万頭というデータもあり、食害により植生に影響を与えることも懸念されている所もある。一方、地方によっては個体数が減少し絶滅危惧種に上げられている。



 上石黒で撮影したニホンカモシカ
 (※写真をクリックして拡大できます)
           
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上石黒地内 撮影 政栄


       寄合地区で

2016.4.30 寄合 小林時吉

  山道からがけに駆け上る姿

2017.8.下旬  地蔵峠山道