マムシ
暮らしとの関わり 　石�Kは、昔から特にマムシが多く生息しているといわれた。どこの家でも一年に１〜２匹のマムシは、草刈りなどの農作業の中で捕らえたものである。筆者も中学生のころには、毎年捕まえた。とはいっても逃げられないよう素早く頭を足で踏みつぶし皮を剥いで持ち帰った。 　マムシには赤マムシと黒マムシがあり、石黒では黒マムシの方が個体数は多い。また、雌の個体が圧倒的に多く見られる。雄雌の見分け方は、頭の大きさを見て成体であることを確認した上で、細くすらりとしている方が雄で太くて短い感じのものが雌である。餌は腹を割いて見た限りでは野ねずみや蛙が多い。夜行性であるが気温の低い春秋には日中に、暑い夏のころには午前の１０時頃に最も多く見られる。 　捕らえると、昔からマムシは精力増進や打ち身などの治療に効能があるといわれ、一升瓶の中の焼酎に浸けて縁の下などに保存しておいた。マムシ酒は打ち身などに効くと伝えられ現在(2009年)でも利用されている。 　また、自分の経験から言えば、どぐろをまいたマムシは保護色のためか目を離さない限りはじっとしているが、捕まえるために棒を探すために目を転じると素早く逃げてしまう。また、マムシの捕獲に長けた人の話では、マムシを見かけたら立ち止まらずにいったん過ぎ去って捕獲の棒などを用意してから戻るとよいという。いったん立ち止まると相手の動きに反応して素早く逃げるからだという。 　今日でも、マムシに噛まれる村人が後を絶たない。現在では、噛まれた場合は１０日間ほどの入院治療が行われるのが普通である。アオダイショウの若い個体は体の紋様がマムシに酷似するが頭と尾の形から容易に区別できる。→右上写真 （写真2012.10.16 下石黒　政栄　 右下コピー） 　　　　　　　　　　　　　　黒マムシ 写真2007.9.2 上石黒 　　　　　　　　　　　頭部の形と斑紋 写真2012.10.16 下石黒　政栄	解　説 マムシ科 　日本全国の平地や山地のあぜ道、草藪、森林の中にすむ。 　からだの長さは４５〜７０�p。背かわは褐色あるいは褐色ないしは灰黒色で丸い斑点模様がある。頭が三角形であることから他の蛇と区別できる。また、他のヘビに比べて尾の先が急に細くなることも特徴の１つである。 　夏から秋にかけて５〜１２匹の子を産む。卵ではなく幼蛇を産む卵胎生である。 　ヤマカガシを除くと日本本土にいるただ一種の毒蛇である。 　　 　※アオダイショウ幼体 写真２００５．５．２１下石黒