遠山の思い出 2 「あの頃は、遠山〔遠い田畑〕に出かけるときには、毎日べんとうもちでしたいね。行きは、ンマエゴ〔牛馬の敷き藁の堆肥を〕をそって、帰りは、馬の草を背負ってきました。 地乳飲み子のいたころは、切ないでしたいね。とくに私は乳の出がよかったのでお昼近くや夕方近くなると乳が張って苦しかつたですいね。乳飲み子のいる頃は、自分だけヒルアガリしました。途中で乳が自然と出で足まで伝っていくのがわかりました。 片道30分もかかる山道でしたが、乳を待っている子供のことを思うと少しも苦になりませんでしたいね。 〔下石黒 Kさんの話〕 →遠山の思い出 1 |