かいばおけ(飼葉桶)
 飼いば桶は、牛馬に餌を与えるための桶である。 
 馬屋のマセンボ(馬屋のニワに面した入り口に馬が出ないように取り付けた棒)に下げた木の枝で作った鈎に桶を下げて与えた。
 冬期は、干し草や稲藁を細かく切り刻んだものにコヌカをまぶして熱湯をかけたものを餌として与えた。餌を与える時刻が近づくと、飼いば桶を鼻先で動かしたり、前足で馬屋に面した土庭の土をかいたりして餌を催促をした。筆者は、飼いば桶に切リ藁と小糠〔こぬか〕を入れ、その上から、茶釜の熱湯をかけて両手でかき回すときの香りを今でも忘れない。
昔は、多くの家で馬や牛が飼われていた。昭和20年代までは主に農耕用とともに、馬屋の敷き藁を堆肥にする馬や牛でもあった。
 しかし昭和30年後半には耕耘機が普及して馬は姿を消したが、牛はその後も肉牛や仔牛をとるために飼われた。(石黒では乳牛は飼われたことはない)