ひばし  
 囲炉裏には必ず上の写真のような火ばしが備えられていた。火ばしの用途は焚きものを整えたり、オキをかき出したり、クリやサツマイモを焼くときや十能にオキをかき入れるときにも使った。
 また、消し炭を作るときにも、火ばしでオキをはさんで消壷の中に入れた。家によっては大小の火ばしを備えておいた。
 時には、猫を叩く道具、時には子どもの躾用具にも変わり、悪いことをすると「金(かな)火箸で叩くぞ」などと言われたものであった。 筆者の子どもの頃の家の囲炉裏には、大小、長さは殆ど同じだが太さが異なる火箸があったことを憶えている。
 また、「クイゾツツキ」と呼ぶアゼ塗り鍬の端の部分を切り取って造った(下記図)道具があり、それでクイゾ(丸太のままの薪)の燃えがらの部分を削り落とすように取り去ると炎を立ててよく燃えた。