ゴトク

 昔は、どこの家にも囲炉裏があったが、そこには火箸のほかに大抵の家ではゴトクが置いてあった。
 筆者の子どもの頃(昭和20(1945)年代)は、ゴトクは囲炉裏の中央で煮炊きをしている時、少し脇の方に置いて、その上にカン鍋をかけて酒を温めるためなどに使われた。
 囲炉裏の火床には常にオキ(赤く熾った炭)があるのでそれを火箸でゴトクの下にかき入れて使った。病人のおかゆなどを保温しておくためにも便利であった。
 昔の囲炉裏には、現在のガステーブルのような機能があったともいえよう。
 ゴトクの歴史については、民具補説をご覧いただきたい。

民具補説→ゴトク