前ページへ      原文  P.11  次ページへ     読み下し文
  
楽浄土頼むべきは弥陀如来、真人決定して
 参るべきは安養
の浄土、移り変らぬ證り(さとり)は浄土に
 あらずば何をか期せん。心に
かなう友は聖衆(しょうじゅ)にあらずば誰
 をか侍らんやと、見聞きの人無極(むごく
 )
の信心を得て是についても、各々諸の雑業
 (ぞうぎょう)をすてて、一心に
阿弥陀如来今後の後生助け給えと深く帰命し
 奉り
その上は、我が往生を定め給いし仏恩を報ぜ
 ん為に念仏
し給うべきなり、蓋し浩鐘打つを待って鳴り
 仏種は縁により起こる。伏して
 
 意訳文
       
楽浄土、頼むべきは阿弥陀如来であり、信心
決定して参るべきは極楽浄土、移り変わらぬ
證り(さとり)は浄土でなければ何も期待することはできない。心にかなう友は仏の弟子
でなければ誰がいようか。見聞きの人、仏の
境地の信心を得て各自が念仏以外の仏道修行
を捨てて一心に阿弥陀如来に「今度の後生助
け給え」と深く帰依した。
その上は、私の往生をお定め下さる仏恩に報
いるために念仏すべきである。
思うに法鐘は打つを待って鳴るのであり、佛
種(悟りに導く仏の教え)は縁によって起こるのである。伏して、