19901202 小林秀雄は「私の人生論」という講演で、オリンピックの中継テレビを見ていて、スタートラインにつく選手、砲丸をまさに投げよう心を集中しているときの選手の表情に厳粛な美しさを発見して感動している。
 それに比べ、情念の動きのままに弛緩してしまっている観衆の顔には、少しもそういう美しさはないと述べている。
天真爛漫な笑顔、愛情と慈愛に満ちた笑顔、恥ずかしそうな顔、それぞれの美しさはあるが、この自己を制して無心の境地に達した顔こそ、人間の最高の表情なのであろう。

19901202 「性能のよい機械」という言葉がある。人間を機械並みに「性能がよい」というならどんな人間であろうか・・・・・・まず何より、意志が強くセルフコントロールの出来る人間ということになろう。
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