アワフキムシ
暮らしとの関わり
 子どもの頃は、アワフキムシの巣を見かけると、「ヘンビのつばき〔蛇の唾〕」と呼んで嫌った。(ファーブル昆虫記によれは南フランスでは、これをカッコウの唾であると言い伝えられていたという)
 藪の中では、アワフキムシのついた草はよけるようにして歩いたものだった。
 中学生になって、はじめて虫の巣であることを知って、木の枝で泡をかいて中を見た。確かに虫が現れたが観察することはなかった。
 虫の形等をよくよく見るようになったのは本HPの写真撮影をするようになった最近のことである。
 今年の春に、泡の中からカタツムリの幼虫らしきものが現れて驚いた。湿り気を求めてカタツムリの幼虫が巣に入り込んだものであろうか。〔参考写真〕

〔写真上2006.5.24 右2005.9.4 上石黒〕


解 説
アワフキムシ科
 北海道から九州に分布する。
 初夏の頃いろいろな植物に付着した白色の泡が見られ、その中にアワフキムシの幼虫がいる。日本には約50種が知られている。
 成虫はセミに似て体長5〜18o。幼虫は体長10o前後。植物の道管に口針を刺し、その汁を吸って育つ。その際、道管から大量の水分を吸い養分を摂取したのちの再びそれを体外に排泄する。
 そして、幼虫のうちは自ら作った泡の中で生活している。
 泡は幼虫の腹部の両側がふいごのようになっていて、尾から分泌された粘液に空気を送り作る。
 泡の役目は天敵と乾燥から幼虫の身を守る。卵で越冬するものが多く春に幼虫が孵る。