タケリタケ
暮らしとの関わり
  タケリタケには一度出会いたいと思っていたが、 今日(2010.10.13)雨上がりのタキノフチのブナ林で出会った。
 遠目で見て、大型キノコの老菌の傘が脱落したものと思ったが、近づいて見るとタケリタケであった。触ってみると傘も柄も堅くしっかりとしている。
 その後、タケリタケの柄の部分は柔らかいものが普通であるとの聞いたが、筆者が撮影したタケリタケ(右下写真)の柄の内部は筋状で堅くしまったものであったので同定に自信がなくなった。
 しかし、タケリタケが宿主菌の形質を受け継ぐものであれば、寄生菌であるタケリタケの柄も変化に富むものになるであろうから同定は間違いないとも考えられた。また、このように考えると、形にとどまらず、宿主菌により食毒も決まるということあり得る。まことに興味の尽きない世界を覗き見る思いがする・・・。
 それにしても、他のキノコに寄生してこのような形に変えてしまうとは、エイリアンの登場するSF映画を想わせる。

 今日(2010.10.15)下石黒在住の大橋勝彦さんよりタケリタケを見つけたとの連絡をもらい出かけたところ、見紛うことのないタケリタケであったので、見出し写真を入れ替えた。
 
 村の古老の話では、昭和40年代後半、石黒で地滑り防止工事が盛んに行われた頃だが、昼休みにキノコとりに近くの雑木林に入った若い衆が巨大なタケリタケを取ってきた事があったという。高さは20p、柄の径5pはあったというから驚く。それを見た工事に出ていた大勢の女衆は「なんと立派な・・・」と口々に喚声をあげ驚きを禁じ得ない様子であったという。
(上写真2010.10.15下石黒 撮影者 大橋勝彦)



解 説
ピポミケスキン科
 「タケリタケ」というキノコがあるわけではなく、ピポミケスという菌が他のキノコ(チチタケ・ベニタケ属)に寄生して、そのキノコをこのような形に変えてしまうのである。
 寄生したピポミケス菌はとりついた幼菌の成長を止めて、それを自分の栄養にして育つ。
 高さ6〜16p。径2〜4p。柄と太った頭部があり茶褐色、黄褐色、暗褐色など変化に富む。
 名前の由来は、その形が男根に似ることによる。


 筆者の出会ったタケリタケ

撮影日02010.10.10下石黒