俵ごしらえ 田辺雄司 俵ごしらえに備えて、毎年、冬の間に何十枚の俵とサンダワラ〔俵の両端にあてる蓋〕と俵用の縄を作っておきました。 秋になり、稲刈り、ハサ掛け、脱穀、臼しきなどの仕事が終わると俵作りの仕事が待っています。 一斗枡で4つ、四斗で一俵とします。俵に入れるとサンダワラをして横に倒して、俵の中央に縄を二重に回して縄の両端を左右の手でもって、足裏で俵をトントンとふん蹴るようにして締めます。 そして、中央の縄から左右同間隔の所に同じように縄を掛けて同様に締めます。更に、中央と左右の縄の間をもう一ヶ所縛り、計5ヶ所を縛ります。 それから、先に縛った5本の縄が動かないように縦縄を十文字に掛けますと固くしまった1俵の米俵ができあがります。この様にして
俵ごしらえはなかなか力の要る作業でしたのでもっぱら男性の仕事でした。 その後、農協から俵しばり機と呼ぶ用具が売り出されて普及しました。この用具は一番大変な作業である俵の真ん中を縛る作業に威力を発揮しました。図のような構造で、まず、取っ手でワイヤーを締めていき適当に絞られたところで縄を掛けるのです。この用具を使ってからは仕事の能率もあがり1日20俵ほどつくれました。 飯米用の俵は3ヶ所をしばり、更にその上に「サヤ掛け」といって薄い俵を編んだものをかぶせて座敷の上につり下げて保存していました。 |