味 噌 煮

                              外立ハツイ

 味噌煮の季節になると、味噌煮ガマと呼ぶ高さ2m位のカマが、家に交代に回ってきました。
 味噌煮釜は上下二つに分かれていて、下の方は高さ50〜60cm位の火を燃すかまどで、上の方は豆を入れる釜でした。
 家の中の土間と呼ぶ場所に据えて火を燃し、豆が柔らかくなったところで機械を使って細かく潰しました。それを直径20cmほどの球にまるめました。これを『ミソダマ』と呼びます。
 それを囲炉裏のある座敷の天井から吊り下げました。ミソダマの下げ方は、2m位の縄を十文字に下げて、その上にミソダマを置いて藁で結び、更にまたミソダマを置いて結んで連ねて下げるのです。
 そうして、しばらく乾かしてからミソダマを下ろして、水につけて、柔らかくなったところで切り刻んで塩、麹、を混ぜて味噌桶に入れておきます。
 そして秋の頃にそれを桶から出して、臼の中に入れて杵でつきます。このときに味の按配を見て、塩や麹を加えます。
 そして、再び味噌桶にもどして十分に発酵させるとおいしい味噌ができあがるのでした。
               〔神奈川県小田原在住 旧姓大橋〕