柿アンボ、サツマイモアンボの作り方
                            田辺雄司
 昔(昭和の初め頃まで)はアンボや柿アンボ、サツマイモアンボなどをよく食べました。また、柿ダンゴやサツマイモダンゴもよく食べたものです。
 とくに、柿アンブは美味しいものでしたが、その作り方は、渋柿の皮をむいて四つ切りか六切りにして種を取り出して夜のうちに煮ておくのでした。
 翌朝になりますと茹で汁がゼリー状になって、しかも甘くなっています。それを少し温めて、チャノコ鉢の中に米の粉を1〜2升入れて、温めたゼリー状の柿を入れてよく混ぜて30分ほどこねます。それを拳(こぶし)くらい大きさに丸め、時には中にアンコを入れたり、漬け菜の煮たものを入れたりして丸めてダンゴにします。
チャノコ鉢

 それを囲炉裏でワラを燃やして、その中で20〜30分ほどかけて焼いて食べるのでした。こんがり焼けていい香りがすると食べ頃です。
 食べてみますと甘いので子どもでも半分くらいは食べました。一方ダンゴの方は焼くのではなく、たっぷりのお湯の中でゆでて食べるのでした。
 サツマイモ入りのアンボは「ネッコウ」とも呼んでいました。
 この作り方はサツマイモやカボチャの皮をむいて、やはり柔らかく茹でて、お湯を入れてとろみをつけその中に粉を適当に混ぜて、弱火で焦げ付かないようにご飯シャモジでよくかき混ぜながら煮るのでした。よく煮たところで、茶碗に盛って食べるのでしたが私はあまり好きではありませんでした。
 他にダンゴ汁といって、大根を細引きか短冊に切ったものを具にした味噌汁を作り、一方、チャノコ鉢の中で米の粉をこねて、直径3p、厚さ1pほどの平べったいダンゴの真ん中を少し指で押して凹みをつけたものを味噌汁の中に入れて20分ほど煮て食べるのでした。このダンゴ汁はうまいものでした。今でも昔を思い出して作ってみたい料理の一つです。
 また、子どもの頃によく食べたアンボ、とくに、囲炉裏のわら灰のついたアンボも、是非もう一度食べてみたい昔の食べ物です。