馬とミノボウシ 昭和の半ばごろまで、石黒では冬のカブリモノ(雨や雪を防ぐ衣類)としてミノボウシがよく使われた。 ミノボウシは主としてコシノホンモンジスゲの葉を材料として作られたもので、防寒具としても優れたものであった。 村にはミノボウシづくりを得意とする人がいて注文を受けて冬仕事に何着も作った。 筆者も中学生のころまで使ったが、吹雪のときにも両手で前を閉じて少し前かがみになって歩くと雪と寒風から身を守ることが出来た。 このスゲボウシは耐久性にも優れ何年にわたって使用できたが、注意しなければならなかったのは当時、農耕馬として飼われていた馬であった。それは、うっかり馬屋の近くに置いておくと馬が食べてしまうことがあったからだ。中には、スゲボウシの下部(葉がそのままの姿で並べ重ねて編んだ部分)を無残にむしり取られたスゲボウシを着ている人を見かけたが、何か気の毒な中に可笑しみを感じたことを憶えている。 ちなみに、この馬を使って稲を運ぶときにも、馬が自分の背につけた稲の先を食べることがあったために「フグ」とよぶ口先を覆う籠のようなものを取り付けたものでした。 編集会 大橋寿一郎 |