布団づくりの思い出
                           昔は家族の夜具布団は主に冬場の仕事として女衆が自宅で作っていました。布団の生地からして村には店もなく夏場に反物を担いで来る行商人から買って置いた反物で布団を仕立てるのですがミシンもない頃ですから手縫いです。
 また、綿商人が綿の打ち直しを求めてよく村々を廻っていたので、そういう人達に綿の打ち直しを頼んだり新規に綿を購入したりしました。
 布団皮が縫いあがると綿入れ作業が始まりますが,この時はよく手伝わされました。何しろ冬仕事なので寒さと布団の綿入れは場所をとるので大変でした。
 囲炉裏に、ドンゴロやクイゾ(丸太や木株)をどんどん燃やして部屋を暖めながらの布団作りでしたが、この時の手伝いが後々私にとって大変役にたちました。
 また、この頃〈20年後半〉になると布団の反物柄も徐々に色彩豊かになりなってきました。
 その頃は、新規に幾組も客用布団を作る時は村に名人と言われるような人が居り、その人に来てもらって布団作りをしたものでした。
 こうして作った客布団は、お寺の宿番に当たった近所の家の人が、お坊さんを泊めるために借りに来てニナワで背負って運んだものです。
 このように客布団や座布団などが、まだ各家々には備わっていなかった頃、このように村人はお互いに助け合いながら暮らしておりました。
 今にち、物は豊富になりましたが、昔の暮らしに比べ、人や家同士のつながりは薄れたような気がします。


  文・大橋洋子(福島在住)