馬の血とり
春になると、馬の血とりがありました。馬の血とりは冬の間に伸びた爪を切ったり、手足の関節のあたりの内側や上唇と歯の間に焼きゴテをちょっと当てたりするのです。
馬は熱いので暴れますが、馬の健康管理のために昔から行われてきたことでした。
秋の血とりは、外仕事がすべて終わって、そろそろミゾレも降る頃で、外ではできないのでニワの床板をめくって家の中ですることもありました。
また、秋の血とりには、毎年、当番の家を決めておき、もち米一升と小豆一合ほど持ち寄って、夕方、餅をついて食べたものでした。あんころ餅をお椀にから垂れ下がるほど盛り付けて、みんなでゆっくりと食べるのでした。
その日は酒を飲むと一升餅が食べられないので酒はありませんでした。皆、お腹がすいているので、ついた餅はほとんど食べたものです。
昔の人は本当によく食べたものと思います。
田 辺 雄 司 (石黒在住)
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