田植え前の枠ころがし綱張り具2
 
 田植え機が普及する前には、田植えは田かきが終わって整地された田に田植え枠を転がして碁盤状の跡をつけて、数人で植えるのが普通であった。
 この枠ころがし時には、基準となる細い縄を真っ直ぐに張っておいて、枠の一方の端を糸に合わせながら丁寧に転がすのであった。
 この時の縄の基づけをしっかりと固定するのが上の写真の用具である。長く張った縄を直線状に張るには相當強い力が基づけにかかるので、Tの字の横棒を両手で持って畦際に深く差し込んで固定した。
 下の写真は細縄を巻いて置く糸巻の役目をするものである。基づけに縄の端を結わいつけ、糸巻を回しながら、縄の張りを保ち地面を引きづることのないようにして先方の畔際に立てたT字の用具に固定した。