角樽は、結婚式に先立ち、結納時に結納品と共に持参するのが一般の慣例であるが、石黒では結婚式当日に結納を行った。その時に、このツノダル(角樽)も持参した。
現在ではプラスチック製のものが多いが、昔のものは木製(杉材)で朱漆塗に仕上げたもので風格があった。
子どもの頃、我が家の土蔵の二階に漆塗りの立派なツノダルが天井からぶら下げてあった。ネズミがかじって傷物になっていたが、ツノダルの鮮やかな朱色が薄暗い二階で、小窓の光を受けて、ひときわ目立っていたことを憶えている。
十七才で嫁いで来た母の結納のツノダルであった。
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