猫ツグラ   
 
 昔は、たいていの家で猫が飼われていた。ネズミ駆除のためである。ねこの餌は主に残りご飯にお汁の残りをかけたものを与えた。いわゆる「ネコマンマ」である。
 冬季は囲炉裏の近くに、上の写真の猫のツグラが置いてあり、その中で猫は昼間の大半の時間を寝ていた。
 ネズミを捕ってくると家族にみせて「ようした、ようした」と褒めてもらってから食べた。猫ツグラは藁で厚く作られていた。
※猫のネズミの害駆除の効果は想像以上のものがあった。猫がいないとネズミが、わいたように増え天井張りの上を走り回る音が騒々しかった。

ところが、ほんの小さな子猫でも猫の鳴き声がすると、ぴたりと天井張りのネズミの走り回る音は止んだものだ。
 このように、猫は当時の農家では、大切な役目を果たしていた動物であった。筆者の子どもの頃は、今の猫のようにペットとしての意識はなかったが、このようにネコツグラを作るなど大切に飼っていたのであった。