ホラ貝 
 ホラ貝はどこの家にもあるものではなかった。菩提寺のお講宿や区長などの役をする家に備えられていた。 
 お講の始まる相図に使われたり、総会や道普請の日の相図などに使われた。
 また、二つ以上のホラ貝を同時に吹くのは火事などの災害を知らせるための合図とされた。筆者が中学生の時、生家がお講の宿をした折に、開始の合図のほら貝を吹いていると寺の若い伴僧がもう一つのほら貝を持ちだして二人で同時に吹いて父に注意されたことを憶えている。ほら貝は大小2個が備えられていたが、同時に吹く時の音色の違いを出すためであろうか。
 ホラ貝は、普段は、デイ〔客間〕の長押などに掛けて保存した。


〔参考写真〕


  仏壇の上に掛けられたほら貝