民具補説 草けずり鍬 昔は、どこの山の斜面にもカンノ畑がおこなわていました。カンノ畑は、山の斜面の日当たりがよく少しでもなだらかな斜面のを選んで、草や低木を刈り取り乾いたところで焼きはらいその後に豆や小豆などを播く農法です。 この時に草削りによく使われたのがヘッタグワでした。草削りは出来るだけ草が大きくならないうちに大豆や小豆の間の草を削り取るのでした。 ヘッタグワはブナ材で鍬の形を作り、その先に鉄で作ったU字型の刃をはめ込むようにして取り付けたものです。 このヘッタグワは現代使われている先の部分が金属製の鍬に比べて、当時は使いやすかったように想います。 この草削り用のヘッタグワは同形の畔塗り用のヘッタグワに比べて少し小型に作られていて重さも軽いものでした。 ヘッタグワにも色々あり田掘り用の鍬は、とても大きくて重く子どもがやっと持ち上げるほどの重さがありました。 カンノは集落では早い者勝ちで畑になると思うところはカンノ畑にして、ソバか小豆を播いて収穫していましたが、翌年には大豆を播いたものでした。大豆を播いた年は何度もヘッタグワで草削りをする人が多かったように記憶しています。 私の家ではカンノを起こすと半分は畑にして残りの半分にはオニグルミ、柿などを植えたようですが、柿は雪害に弱く実をつけるまで成長したものはなかったように記憶しています。 その後、下右図のような専用の草削り用の鍬が売り出されて現在でもほぼ同じ形のものが使われています。こちらは柄が長く軽く平らな畑の草削りには使いやすいようです。 草削り用ヘッタグワと三角鍬(現在のものとほぼ同じ) 文・図 田辺雄司 (居谷在住) |