恐れ乍ら書付を以て御拝借願い奉り候      (田辺重順家文書)
 
 
 恐れ乍ら書付をもって御拝借願い奉り候
              石黒村端郷
              大野百姓
                次左衛門
                左左衛門
                庄右衛門
                惣右衛門
                与七
                勘四郎
                九之助
                吉兵衛
                九左衛門
                元右衛門
                佐一右衛門
                作右衛門
                長吉
                佐次右衛門
               〆て十四人
先日御注進申上げ候通り
右は当村端郷大野と申す所去月二十四〔(※日)夜
大地震にて田地の内所々割目相立それにより右
十四人のもの共居屋敷内に相掛り割目
相立住居難しく家作り所拂い候古座無く候
 
 處山地貧村の次第は兼がね御見守りなされ
在り候通りにて家作り移り候手便御座無く一同迷
惑仕り嘆かわしき次第に存じ奉り候何分右の次第通り居
屋敷内へ割目相立候得ば往々谷間へ崩
落候義は顕然に御座候得ば手入れ仕り候ても元屋
敷に住居仕り難く之に依り御時節柄恐れ入り奉り候
得共格別の御慈悲を以て御書面の金高
御拝借仰せつけられ度願上げ奉り候勿論返上納
一両年中に上納仕り兼ね候間これまた御慈悲を以て
年賦になし下し置き度く願上げ奉り候右願の通り
お聞き済み下し置かれ候はば重々有難く幸せに存じ奉り候
                      以上
             刈羽郡 
             石黒村
 弘化四未年          百姓代
    四月             助九郎
                組頭 卯左衛門
                庄屋 庄左衛門
 御代官所
 
 読み下し文責 大橋寿一郎