尼瀬獄門跡 
写真2015.12.9 
  近くの大根畑におられた初老の男の方に、獄門跡について尋ねるに
色々説明してくださって終わりに「無実の罪を着せられて斬首された人
もいたでしょうねぇ」としんみりと言われた言葉が気にかかった。
 その方と別れて帰路、獄門跡の道脇の草むらに1本の
エノキの大木が
横倒しなっているのに気が付いた。横たわった大木から枝という枝のす
べてが上に向けて伸びている。
 念のために近づいて小枝の先を折ってみるに生木である。根元を確
かめるに根は大地をしっかりとつかんである。
 まるで、倒れても「俺は未だ枯れる訳にはいかないのだ」と言わんば
かり姿である。言われなき罪で断首された昔人の怨念がこのエノキに乗
り移ったかのように想われた。そういえば案内板には「数体の地蔵尊
と老榎には当時をしのばせるものがある」と書かれていた。