敗戦後、 まもなく日本に進駐した米軍は蔓延(まんえん)する発しんチフス対策として媒介するシラミ駆除のためDDTを緊急輸入した。そして調整した粉剤を、乱暴な話であるが駅の改札口などで通る人々に強制散布した。おかげで当初、数百万人に及ぶと予想されたチフスの罹病者は
3万人台でおさまったといわれる。(発しんチフスは第一次世界大戦ではヨーロッパで数百万人の死者を出した病気)
児童生徒も学校で強制的に散布された。当時は人畜無害といわれたので我々は安心して襟元から粉末散布器でたっぷりと吹き入れてもらった。女の子などは頭髪のみならず首筋から顔まで真っ白になって手拭で姉さんかぶりをしていたことを憶えている。
このDDTの効果は、実に驚くべきものであり、その後、ノミ、シラミのみならずさまざまな害虫駆除に使用され目覚ましい効果を発揮した。
そんなわけで、昭和22年(1947)に小学校では「DDTの歌」が教えられた。振付けつきであったといわれるが振付けについは私の記憶にはない。
(2019.10.19 文責 大橋寿一郎)
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