村中約定一札
 (原文)

上原文日付の「亡」に見える字は己(つちのと)で、その下の「己」巳(み)の誤記であろうと思われる
 (書式は傘連判状→首謀者が分からないようにするため署名仕方)



 (読み下し文)
         
村中約定一札

此の度、門出枝寄合村より字「屋びつ」の沢新田開発仕り度儀申しかけられ、よって村中申し合わせ右場所は往古より定請山進退の儀は石黒寄合に限り支配つかまつり来し場所、向村より入れ込み候はば末々村方の難儀迷惑筋に候間村中の者、右場所新田開発に同心仕りまじき旨相定め候、もし同心仕り者これあるは村中より如何様の儀申しつけられ候とも違背なすまじく候
念のため連印左の通り

角左衛門   
庄之助
松右衛門
長右衛門
長兵衛
市右衛門
三郎右衛門
政次右衛門
源八
平吉
作兵衛
名之右衛門
兵吉
佐平治
多三郎
権衛門
甚左衛門
還三郎
与三次
吉郎兵衛
甚八

明治二年己巳六月
 (意訳文)
 この度、門出の寄合村から、地名「やびつ-※現在ヤブツと呼んでいる所であろうの沢に新田開発をしたいと申し込まれた。
 しかしながら、その場所は昔よりきめられた(自分たちの)請け山てあり、何をするにも石黒寄合だけが支配してきた場所である。
 向こうの村(門出寄合)より入ってもらっては、これから先々、私たちの村の難儀と迷惑(不利益)の元になるので、村中の者が右場所の新田開発に同意をしないように決議する。
 万一、同意をした者があれば村中よりどのような罰を申し付けられようとも従わなければならない。念のために連印して右の通り誓約する。
    明治2年6月

(読下・意訳文責 大橋寿一郎)