分校の冬支度 焚き物
                           田辺雄司
 毎年、春になり出稼ぎの人が帰ってくると、すぐに学校のストーブや囲炉裏〔当時の学校には囲炉裏もあった〕の燃料にする薪やボイをつくりました。
 薪作りには村中で3日ほどかかりました。薪は、原木を村の重立衆が手ごろなブナの木を提供して、それを伐採し玉切りにしてマサカリやユキで割りました。
 出来た薪は道端近くまで運んでニオにして積みました。それを秋、出稼ぎ前に村中総出で背負って分校の校舎に取り込みました。
居谷分校〔閉校後写真〕

 また、秋に風が吹くと杉の葉が落ちるので、学校では、風が吹いた後に、村はずれの神社にでかけて神木の大杉から落ちた杉の葉を拾いをした。杉林のない人は杉林を持っている人に頼んで拾わせてもらっていましたが、神社の杉の葉は、罰があたるといって誰も拾わなったので沢山落ちていたのです。
 薪や杉の葉は分校の二階の置き場がいっぱいになると一階の運動場の床下まで入れて置きました。
 それから、校舎の縁の下の周りに藁を入れて風除けをしたり教室にストーブを据え付けたりと、自分の家の仕事は後回しにして学校の冬を迎える準備をしたものでした。