古名家   中村氏    
板畑中村治兵衛の旧家たることは遍く世人の称する所なれども、その世系を知るものなし。今同氏の家譜を閲するにその祖は新田義房〔義貞の高祖父〕に出るか如し、然れども載する所亦明瞭ならず、今、次項古刀作者年代多くは室町幕府の末にあれば、おそらくは その祖は新田義貞に後れること七、八代若しくは十代の後にあらん。

伝来の刀槍を左に掲ぐ
※古刀作者年代、古刀銘盡大全、本朝鍛冶考に拠る
美濃関往兼定作、太刀長ニ尺七寸、 同所住〔無銘〕作、刀長一尺ニ寸九分同所住兼則作、刀長一尺一寸二分、武蔵下原住広重作、刀長一尺七寸八分
備前長船住〔無銘〕作、刀長ニ尺一寸七分、
同所住助広作、槍穂長八寸三分

南鯖石村西之入安住寺の過去Dに板畑中村治兵衛先祖の法謚なりとありて左のごとく記せり
天昭院殿義山仁田大居士
貞操院殿真室容光大禅定尼
 刈羽郡舊蹟志上巻