居谷部落の字及び小字の名前について
                               田辺雄司
 私たちの部落は東西に長く南北は短く、周囲を山に囲まれて谷底のような地形です。
 昔から、18戸の家があり皆が田畑を耕して生活してきました。先祖は400年ほど前に松之山の方から逃れてきたと伝えられています。
 土地は、やって来た人達が農業に適した場所を開拓して自分の田畑にし、燃料の薪やボイ〔芝木〕また刈草などの場所として有用な山の斜面は、重立ち衆が手頃な石を持っ上がり尾根から落として区割りをして境界を決めたという話が伝わっております。
 村の総面積は、約百町歩〔100ha〕で、これは、昭和40年の春、大きな地すべりが起き、県の地すべり防止地帯認定のために実測して分かったことです。
 私の家には先祖が作成した耕地図がありますが、現在でも何かと役立っています。その地図を見ると大字、小字の名前が書かれております。どのようにして名前をつけたかは分かりませんが色々な名前があります。私たちは子どもの頃から学校から帰ると、「○○○の山で仕事をしているから鎌をもって手伝いに来い」などと言いつけられるので、高学年の頃には山の名前と場所はいやおうなく覚えたものでした。
 今では、過疎化が進み戸数は3軒となり、遠い山の田畑は、荒れて原野に還ったところも多くありますが、懐かしく思い時々出掛けて行くこともあります。


 
上記の大字の中にある山や田畑ある所の名前には以下のようなものがありました

高地
上高地・下高地・端〔た〕高地・どのびろう・井接ぎ田(いつぎだ)
ちょうな坂
三角林・馬道・墓場の上・カヤ場西・カヤ場東・滝の平〔ひら〕
狢平〔むじなだいら〕
立場〔たちば〕・向う・下〔しも〕・大下〔おおしも〕・家の下、滝沢・つんね屋敷
外谷〔そでたに〕
おんけ・山中・もーびろー・かまの井・長畠・おんけ沢
居谷
いごげざ・入りごげざ・宮の外・家の上・一枚田

もっと他にもあったと思いますが、今でも私が覚えている名前をあげてみました。