恐れ乍ら書付を以て願上げ奉り候    (田辺重順家文書)

 
  
 恐れ乍ら書付を以て願上げ奉り候
              刈羽郡
               石黒村
右村役人一同嘆願奉り候、先般春巳の
御年貢金の義、当六月二十五日御皆済
仰せつけられ□前畏み奉り候得共、何分極貧
村々の處、昨巳の大凶作にて今日を暮らし
兼ね実以て御上納方当惑仕り候、右は年貢
金の内百六十八両三分当月二日御上納仕
候、猶今日金二十一両也上納奉り残
金の義は来七月十日、八月十日両度へ
御□延べなし下し置かれ度、伏して嘆願奉り候、然る上は
御上納金の義に候えば、聊か等閑候儀には
これ無く精々心配仕り右御延べ願日限り前々にも
取集め次第御上納仕るべく候間、格別の
御慈悲を以て御猶予成し下され置き度く、挙げて嘆願奉り候
右願の通り御聞き済み成し下され置き候はば大小の
百姓御救い重々有難く幸せに存じ奉り候
                以上
 明治三年        右村
    六月        百姓代 助九郎
              組頭  宇左衛門
              庄屋  重五郎

 柏崎県
  御役所
 
 読み下し文責 大橋寿一郎