トウオオバコ
暮らしとの関わり
 トウオオバコに出会ったのは、柏崎の海浜植物を調べ始めてしばらくたった2009年の頃の事であった。本種は防波堤の内側(住宅街側)の斜面の基部から平面部への境の日当りの良い場所に所々で見られた。最初は「大きなオオバコ」くらいにしか思わず見過ごしていたが、50p余もあると思われる花茎を見るにつけ別種ではないかと思い、「柏崎・刈羽の植物」−1986年刊の「海辺の植物の部」を見たが掲載されていなかった。また、「柏崎の植物」−1981刊の索引には「オオバコ」の外に「トウオオバコ」の名前は見えるが掲載ページは表示されていなかった。
 それで、牧野植物図鑑で調べて見ると、どうやら特性がほぼ一致するのでひとまずトウオオバコと同定して掲載をした。詳しい方がおられたら御指導を仰ぎたい。
 子どもの頃の経験ではオオバコは飼いウサギが好んで食べた草であったが小さく持ち運びが難しく採取しなかった。もしこのように大型のオオバコが故郷石黒にあったらウサギの餌に採ったことであろう。


写真 2012.6.12・上右写真 2013.6.23裏海岸

             混成する葉

写真 2009.10.16裏海岸

          自生していた場所の様子

写真 2012.6.12・上右写真

解 説
オオバコ科
 九州から北海道の海に近い所に生える多年草。オオバコに似るが全体が大型である。
 葉は根茎から10〜17個ほど束生し葉身の長さは8〜25p、幅は5〜18pで卵形で少し厚めの革質。葉身にやや平行の葉脈が見られる。(下写真)
 葉柄の長さは3〜20p。縁には緩やかで不明瞭の波状の鋸歯(?)が少数ある。
 花期は7〜8月。葉の間から長さ40〜80cmの長い花茎を1〜5個伸ばし、多数の白色の穂状花序をつける。
 ガク片は2mmほどの楕円形で先端は丸い。花冠は白色で先が4裂して反り返る。雄しべは4個あり、花冠の外に長く突き出る。
 果実はさく果で楕円形で上部半分のつくりでその中に種子が8〜12個ほど入っている。
 名前の由来はその巨大な姿を異国風に見て中国からの渡来種と誤解して付けた名前で、実は日本産である。



  茎の中の維管束(筋)
写真 2013.6.23裏海岸

      花の様子
写真 2013.6.23裏海岸