トビムシ | |||
暮らしとの関わり トビムシは、石黒では、セッケイカワゲラを含めて「エキミシ−雪虫」と呼んだ。2月から3月の晴れた日に、雪上のゴミのように見える物に目を近づけてみると生物であることに驚いた経験は誰にもあるだろう。 子どもの頃から、石黒で、誰にも知られていた雪虫はセッケイカワゲラであるが、ノミのようにピョンピョン跳ねるトビムシの存在もほとんどの人が知っていたであろう。英語ではスノー・フリー(雪蚤)と呼ばれているとのこと。 トビムシは、雪上ではセッケイカワゲラの主要な餌でもある。 また、土の中や落ち葉の中にも雪上とは比べようもないほど多くのトビムシがいるのだが同系色で余りにも小さいためにその存在に気がつかない。森林土壌では1u中に数万個という極めて高い密度で分布しているといわれている。 この種は基本的には交尾はおこなわず、雄は土の表面に精包(精子)を置き、雌がそれを拾い上げることで受精がおこなわれるものが多いという。 また、マルトビムシは触角で精包を受け渡すほか、交尾をおこなわず繁殖する単為生殖の種も知られているとのことだ。 今冬の石黒は豪雪で3月を間近にした今も3メートル余の積雪であるが、その雪の上で、このような数限りない雪上生物が活動をしていることを想うと、自然の営みのたくましさに改めて感動する思いがする。 拡大写真 |
解 説 ツチトビムシ科 原始的な昆虫の一種で現在、日本では約340種類が確認されている。 生息場所は主に土壌中だが、灼熱の赤道直下から極寒の氷河の表面にまで分布する。脱皮を繰り返して成長する。 様々な形のものがあるが普通、体長1〜5oほどで一対の触覚をもち、胸部の3節には3対で6本の足がある(上写真)。体は6節にわかれている。腹部下面には粘管という管状の器官がある。 また、腹部第4節には2又になった棒状の器官の跳躍器がある。これはふだんは腹部にたたむように納められているが外敵に出会ったときには後方へ強く振り出されて大きく跳躍して逃げることができる。 上写真でわかるように体のつくりは昆虫に近いが腹部の体節が6節しかないこと、腹部下面に跳躍のための器官を持つことなど若干のちがいがある。 地上では腐葉や胞子、菌糸等を食べて土づくりに貢献している。雪上での餌は菌糸やカビ胞子。 トビムシに限らずこれらの土壌動物には現在も未知なところが多いといわれる。 |