自家製モミ乾燥機 田辺雄司 昭和30年頃までは、モミの乾燥には手間がかかりました。ハサによる乾燥も不十分のことが多く、どうしても脱穀後の天日による乾燥が必要なことが多かったからです。 天気のよい日にムシロを外のニワに20枚ほど敷き、背負い桶で外に運び出してムシロの上に広げて干しました。干しておいたモミは夕方前に、また座敷のムシロのタテに運び込まなければなりませんでした。また、急に曇ってきて雨になる気配でもあるとそれこそ大変でした。
そのうちに、自分で乾燥設備を作って天気が悪くてもモミを家の中で乾燥している人がいるという話を聞きました。私もその設計図を見せてもらい作ることにしました。幸い家には大きな送風機はありましたので、大工を頼んでベニヤ板に枠を打ち付け一部屋の中に9尺×4尺の箱を作って底から20pの上に網で作った枠を並べてその上にモミをいれるという下図のような構造でした。 そして、送風機の前に4寸練炭を置いて一晩中暖風を送って乾燥するのでした。 翌朝、乾燥度を調べるために子どもが学校へ行くときに一つかみのモミを袋に入れて農協に持って行かせて、乾燥度を測ってもらいました。その結果によっては更にもう一晩かけて乾燥するのでした。こうして何回かに分けて乾燥するので大変手間がかかりました。 それでも、天日で乾燥する作業に比べれば手作りのモミ乾燥機での乾燥は効率的であったと当時を思い出しています。 その後、昭和45年頃になると灯油を熱源とした本格的な乾燥機を購入して使う人が出て来ました。 そして50の年代に入ると生脱穀のコンバインが使用され、生モミ用の1反歩用、3反歩用とそれぞれモミの量によって異なる形式の乾燥機が使われるようになって今日にいたっています。 |
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