クンタン焼きと簡単な堅炭づくり
                            田辺雄司
 昭和の中頃から苗代づくりも改善されて水苗代から保温折衷苗代と呼ぶ方法が普及しました。
 保温折衷苗代にはクンタン(モミガラをいぶし焼きにしたもの)が大量に必要です。それで秋になりますと、どこの家でも天気のよい日に地面の乾いたところをきれいに掃いてそこへクンタン焼きの道具(下図)を置きその周りにモミガラを積み上げてクンタン焼き器の煙突の先だけ出して火を入れます。
 モミガラの量によっても異なりますが、朝火を入れますと昼過ぎには煙の色も薄くなりほぼ出来上がりです。焼き上がるとクンタン焼き用具を取り除いて、焼けた籾をかき回しながら水をかけて火を消します。よく消さないと再び火がおこり焼き上がった籾は白い灰になってしまいます。特に風のある日は要注意でした。ですからていねいに念入りに水をかけて完全に消すのでした。
 また、ときには、クンタンの作りの時にクンタンと一緒に堅炭づくりを行ったこともありました。
 方法は、先ず、クンタン焼きの道具の周りに生の木や乾燥した木のコロを置いてその上に籾をかけてクンタン焼きをしますと、木も蒸し焼きとなります。取りだした木は細かい土か砂をかけて数時間おくと堅炭ができあがるのでした。

 保温折衷苗代でのクンタンの使い方は、苗代に種籾を播いた後に種籾が隠れる程度に上からクンタンを撒いて更にその上を油紙で覆う方法でした。

                    文・図 田辺雄司(居谷)