ホウキの種類と用途
                            田辺雄司
 昔は、ホウキをほとんど自分で作って使いました。ホウキの使い道に適した自然の材料を生かして工夫を凝らして作ったものでした。主なホウキの名前と使い道は下記の通りです。
キビボウキ
 キビホウキは、秋に穂が出たホウキキビをよく乾燥させ、棒で叩いて種を落とし、更に茎などをよく乾燥させたものを5、6本合わせて、ヒモや針金で強くしばります。穂先は柔らなので主に畳の上を掃くときに使います。
木ホウキ
 このホウキの種は小さくて噛みますとブツプツとつぶれます。よく肥えた土地に植えたものは幹も太くなり一本でホウキが作れます。ですが普通は細いものを5、6本合わせて針金や強いヒモでしばり、主にムシロ(座敷)の上や年の暮れのススハキなどの大掃除のときに使います。種は食べられます。
ワラボウキ
 ワラボウキは、年寄りたちが、とりあえず間に合わせに藁をすぐってクズを取り去り、二束くらいを結び土間や玄関などをはいていました。
ヨシボウキ
 ヨシボウキは、夏のヨシの穂が出て2、3日過ぎたらすぐに刈り取りよく乾かした後、7、8本合わせて芯に丈夫な細い木を差し込み持つ柄のところを丈夫にしたものです。すごく穂先が柔らかいので主に板の間をはくときに使いました。また、小型のヨシボウキを作って神棚や仏壇の掃除に使いました。ヨシボウキの材料のヨシは穂の綿状のものが散らないうちに刈り取ることが大切でした。
タケボウキ
 タケボウキは、モウソウ竹の枝で作るもので枝の節目をきれいに削り落とし6,7本、細い竹棒を包むようにして針金でしばって作りました。しばるときに竹で包む部分の柄竹に穴を開けて針金を通して柄が上下に動かないように固定しました。タケボウキは主に外まわりの木の葉やゴミを掃くときに使いました。
図 田辺雄司