おこもり
                        
 1月31日〔月遅れ大晦日〕の夜、7時、家内安全を祈願するため部落民の足腰立つものは揃って神社に参詣した。
そのころになると寒さ厳しく、積雪も3mくらいが普通であった。
 大人はとにかく、5,6年、高等科の男子は、おもしろ半分であったが「おこもり」をに加わったものであった。
 懐に餅の夜食を入れて神社に集まった。お灯をたててお参りをした夜中には、暖房のない社殿は相当気温が下がる。ロウソクの火に手をかざして暖をとったりした。そして、大人から昔の話を聞いたりカルタなどをして一夜を神社で明かすのだった。
熊野社〔板畑〕

 そのおこもりの最中、頭に怪我した人が裸足で30mほどの参道を百度参りしていた。当時、とても寒いだろうと驚いたことを覚えている。
 ようやく、12時頃になると、二年参りの一番のりの家族がやってくる。「ご苦労様です」と言われてうれしかった。
そして朝の5時頃、帰宅したものであった。
 この行事は昭和9年頃まで続けられていた。

 文−中村三四四
     
   「石黒校百年歩み」より 掲載文の一部