民具補説
               
 馬のワラジ
 昔(昭和20年代まで)の道路は、雨が降ると田んぼの中同様な泥んこ道となりました。雨が止んでも坂道には牛馬の足跡が階段状に無数についていて、その中に雨水がたまっているので通学の時には滑りやすいので大変でした。
 このように石黒は砂利もしいてない泥んこ道ばかりでしたが。米俵を馬で運ぶときには東頸城などの村まで運ぶので、砂利道もありました。そういう時には蹄鉄という半円形の金具を爪に打ち付けて行くのでしたが、蹄鉄が使用できないときには馬ワラジを作って履かせました。馬は体重があるので必ず予備のワラジを1〜2足は鞍に縛りつけて米運びをするのでした。
 馬のワラジづくりは、子どもの頃から父が作る様子を見ていましたが、よい藁を選びよく叩いて柔らかくした藁を使って、ていねいに作っていました。
 私も大人になって百姓をするようになり作りましたが馬のワラジは人間のワラジと少し異なるので図を書いて作り方を説明します。


                    文・図 田辺雄司(居谷)