民具補説
                     背負い桶の背負い方

 昔は、どこの家にも2〜3個の背負い桶がありました。
 水を背負う桶や下肥(人糞など)を背負う桶があり、桶には女衆用の少し小型の物もありました。
 夏場に食水(飲料水)の足りなくなった家では、近くの家に水もらいに行って背負い桶で運びました。風呂の水には川の水を背負い桶で運びました。
 背負い桶は運ぶ距離が近いときには「ブッカケ」という簡略な背負い方をしました。しかし、遠くの山(作場)まで下肥などを運ぶときには荷物が下がらないように正式の背負い方をしました。
 正式な背負い方とブッカケの背負い方は下記の写真の通りです。

正式な背負い方 ぶっかけと呼ばれる背負い方
※背負い桶は、主に液状の荷物を運ぶものであり、桶いっぱい近くまで入っていないと、桶の中で液状の荷物が揺れて反動がついて大変運びにくいものでした。女衆用の桶が作られて使用されたのもこのような理由があったものと思われます。                     文・写真  大橋政栄