桑切り鎌

 石黒では、1940年代までは、多くの家で養蚕が行われていた。昭和5年(1930)の繭の生産額が村の年間予算を上回るほどであった。
 筆者の家では上記の鎌は蚕の餌となる主に桑の木を切るときに使っていた。石黒では、桑畑は少なく田のクロ(畔の続きの傾斜地)などに多く植えられていた。
 桑の木の基部の径が2〜3pほどのものを切って背負って家に運んだ。木が径2p以上になると鉈のように叩くようにして切る必要があったので、刃が厚く短く、かつ太い柄の鎌が適していた。1p程の木は刃をあてて置いて引くことによって切り取ることができた。
 また、この鎌は低木の枝を切り払うときにも便利であった。