石黒地区の地すべり地の大作事業について
 石黒地区の地すべり防止区域は、北側から、@松沢工区A石仏工区B大野工区C下石黒工区の4工区に大きく区分される。
 松沢工区では昭和48年や58年に県道を押し流すような大規模な地すべりが活動し、昭和58年の地すべりでは土石流化した末端部が松沢川を閉塞した。一方大野集落南側の水田については地元の人の話では、人家の位置する集落とほぼ同じ高さに位置していた水田が過去100年近くの間に地すべりのために数十メートルも移動し標高が低くなったということである。
 このように、石黒の地すべり地では、融雪期になると水田や畑の変形や路面の亀裂発生および路面の沈下などが地すべり活動の兆候として認められることが多かった。
 地すべりの発生誘因としては、石黒の地すべり地の地下を通る石黒(黒姫)背斜の影響で岩盤が地下深部まで破砕されて亀裂が多く発達することがあげられている。そして、融雪期に融雪水が短期間に多量に地下に浸透すると、亀裂の間で過剰な間隙水圧が働き傾斜のバランスが崩れ、地すべりが発生するという機構が考えられる
 このように、地すべりが繰り返し頻繁に活動することから昭和33年3月に地すべり等防止法が制定された翌年昭和34年に石黒地区も新潟県内で6番目の地すべり防止区域に指定され、昭和35年から公共事業としての抜本的な地すべり防止対策事業に着手した。
 具体的な対策としては、地下水・地表水が地すべり活動の主要な誘因であることから、横ボーリング工などの地下水排除工と開暗渠工などの水路工を主体とした工事を実施してきた。その結果、昭和58年以降、河川を閉塞させるような大規模な地すべりは発生していない。横ボーリングの孔口や集水井の排水管から適宜排水が認められ、融雪期や雨の多い時期には排水量が増加している。このように防止施設は工事効果を発揮している。
 ただし、横ボーリングの孔口には、赤褐色のヘドロ状のスライムが付着しており、排水の流れてを阻害している個所も認められることから、事業概成後も、地すべり巡視員等の活用により、防止施設の機能低下がないかどうかを適宜確認し、機能が低下したいることが確認された場合は、機能回復をおこなう必要があろう。

平成16年 新潟県土木部柏崎土木事務所「地すべり対策事業
 事業報告書より抜粋
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