板畑中村家の菩提寺
 新田勢の武将であった中村家の先祖は、寺の住職を伴って、逃避行を続け、板畑の地に永住することを決め、直ちに現在、「てらやしき」と呼ばれている土地に寺を建立して菩提寺を開基した。
 しかしながら、信仰者を拡大することのできない寺の住職は生活苦に追われて放浪することになり、板畑の住民は帰依する寺のないまま過ごさざるを得なかった。(参照-伝説-板畑の菩提寺)
 あたかも、そのころ門出村に小さな山寺が開山して、板畑、中後、及び門出と寄合の人たちが大勢信仰帰依するようになった。しかし、門出寺は短期間で閉山したため、門出寺の住職をはじめ板畑信仰者全員と門出と寄合の一部の人たちが安住寺の檀家となり現在に至っている。
 以来、中村家は安住寺の副檀頭に親任されて、代々世襲して菩提寺の維持振興に勤めてきた。
 また、中村家の家宝として代々大切に保管してきた釈迦如来像は安住寺の寺宝の一つして現在保管されている。その他、中村治平が建立献上した御影石の灯篭は本堂の前庭に現在も安置されている。


中村治平著「中村家の由来」より抜粋