新潟中部地震
10月23日の新潟中部地震は、深まりゆく秋の夕暮れ、村人が山仕事を終え家に帰った頃に起こった。
揺れは激しく長く、百年の風雪に耐えてきたジョウヤ造りの石黒の茅葺き屋もミシミシときしんだ。繰り返し起こる激しい余震に屋内に居られず外にとびだした人も多かった。
地震発生直後に停電となり、夕闇に覆われた村には
灯りが一つも見えない。ただ、黒い雲の切れ間に中天の半月があり、うっすらと村を照らし出している。
激しい余震は、数時間にわたり断続的に起こり、村人たちを、かつてない不安に陥れた。 独り暮らしや老夫婦だけの家庭が大部分の石黒では無理もないことだ。さらに、地滑り地帯が多いので崩落の危険もある。集落の中では、隣近所の独り暮らしの人が一軒の家に集まり、薪ストーブで煮炊きをし、暖をとって一夜を過ごしたという。
幸い、石黒は震源地より離れていたため山古志村のような大災害には至らなかったものの、大野原の農道やその周辺の水田には、かなりの被害が出ている。
夏の未曾有の猛暑、そして熊の出没、連続的な超大型の台風発生、更に大地震と、今、どこか自然の様相に異変が生じているのではないかと思うほどである。
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