石黒の方言

生 活 編  
2100
音 声
〔Narrator〕
大橋トシヲ
この頃、がきれて山坂を上らんねぇてぇ

      (精ー)
この頃、が切れて山坂を上られませんよ
こんげぇに、でっこくなった杉の子(杉の若木)起こしには、せいびを使わんけらできねぇぜぇ。 このように大きくなった小杉を起こすには2連滑車を使わなければできませんよ。
オツコんぜぇに、泣くんじゃねお

      (際→身分)
男のくせに、泣くものではないよ
きょは、せぇえが えっぺぇ あるのう

     (菜)
今日は、おかず(菜)がたくさんあるね
おっか、せぇえばえっつぇんかしてくれや かあさん、おかず箸一膳かしてちょうだい
せぇばしねぇどこでわりでも、まあ、へってくんなせぇ 狭苦しいところで申し訳ないですが、まあ、入ってください
こんげんせえぇべえどこで エネコキなんか できねえて こんな狭いところで脱穀など出来ませんよ
こどしのシロエモは、俺のせえたけより でっけぇね 今年の里芋は、わたしの背丈より高いよ
あのジサは、ぜえまんだすけ咳ばっか するんだがね あのおじさんは、喘息だから咳ばかりするんですよ
ねら、せいみつかめにえごてぇ 君たち、蝉捕りに行こうよ
まんぞう川のせぎに、ヨォが えっぺえ えたぞ 松沢川のに魚が沢山いたよ
せきよばこをかさねて本棚作ったえね 石油箱を重ねて本箱を作りましたよ
せせなぎじりにおって馬鹿みたえね

(せせなぎ+汁)
下水溜〔台所の水〕に落ちて馬鹿をみましたよ
ええっせつねぇ、おらぁ、財布を忘えて来たえね

あら困った(切ない)、私、財布を忘れてきたわ
こんげぇに せつらのねぇことは、初めてだえね こんなに気ぜわしいことは、初めてですよ
せともん は、しっかける からのう 瀬戸物は、割れるからねぇ
ジサ、風邪を しいた どきは、背中あぶりが一番だぜ おじいさん、風邪を引いたときは、背中を囲炉裏で温めるのが一番ですよ
あこのバサ、せぼんこになって なぁえ

      (背・盆)
あそこのおばあさん、背中が丸く(脊柱後湾)なったね
おら、街のせまっこえ家にぁ住みたくねぇ 私、街の狭苦しい家には住みたくない
ほんに、長々 せわんなってもうしゃけねぇ かったぇねぇ


本当に、長々とお世話様になり申し訳ありませんでしたね
あのジサ、せんきんで みじょうげ だえねぇ

       (疝気)
あのおじいさん、脱腸で気の毒ですね
ぜんかね(ぜにかね)の問題じゃねぇよ 金銭の問題じゃあないよ
おらオッカァ、せんぜぇで 草取り してますえね

      (古語−前栽→せんざい)
うちの母さん、家の回りの畑で草取りしていますよ
川で、せんだくして来ましたて 川で、洗濯して来ましたよ
ばさ、雨が、あたってきたすけせんだくもん えれてくんなせぇ お婆さん、雨が、あたってきたから洗濯物を取り込んでください
トッツァが、せんそに えぐどきの事は忘れらんねぇ 夫が、戦争に行く時の事は忘れられませんよ
えらんもんを買って、ぜんだくなな事 すんなや

      (銭・だくな)
要らないものを買って、無駄遣いしなさんな
時計のぜんめぇを、めえておけや 時計のゼンマイ巻いて、おきなさ
ばあちゃん、ぜんめぇもみたのむえね〔たのむぜ〕 ばあちゃん、ぜんまい揉み頼みますよ